省際DB

平成9年度 科学技術振興調整費による
「地球観測データのデータベース化に関する研究」
実 施 計 画

I.研究の全体計画


1.研究の趣旨

 近年、地球の温暖化、熱帯林の減少、砂漠化の進行等、地球規模の環境問題が人類の生存基盤を脅かす問題として顕在化し、地球上の人類が共同してこれに取り組むことが求められている。
 地球環境問題の研究には、国内外の様々な機関により分散した形で取得、蓄積されている地球観測データを有効に活用することが重要である。しかしながら、地球観測データはその観測対象や測定形態が極めて多種多様な上、データ量が膨大なことから、データの規格化・数値化、データの保存・検索・提供技術の研究が遅れている。
 本課題は、かかる諸情勢を踏まえ、現在急速な進歩を遂げている電子計算機及び通信ネットワーク技術を活用しつつ、また国際的な地球観測データ・情報システムの動向を考慮に入れながら、地球観測データの各分野でパイロット的なデータベースシステムを構築すると共にそれらの相互利用、運用性の評価を通じて、データベースに係る基礎的・基盤的な技術を研究し、地球観測データの電子データベース化とネットワークを介した国内外の研究者への総合的なサービスの実現に資するものである。


2.研究概要

(1)地球観測データの電子データベース化の研究

 地球観測の各分野に関する資料及び観測データについて、第I期研究成果であるプロトタイプデータベースを使用して、より広範囲のユーザ要求とその対応を明確化し、新規データ/解析データのデータベース化、複数機関データを統合したデータベース利用への対応技術等の、より高度かつ広範囲のデータベース技術を研究する。また、進歩著しい情報システム・通信ネットワークの技術および諸外国の地球観測データベースの技術動静を把握し、最新技術を有効利用かつ国際的に整合性のとれたデータベースの保存・検索・提供技術に関する研究を実施する。

i) 気候資料のデータベース化に関する調査研究
 第I期で作成した分散型データベースシステムを省際ネット上で公開するとともに、衛星データなどの大容量データベースを追加整備する。また、省際ネットユーザーがデータベースにアクセスして容易にデータを利用できるようにインターフェースを改良する。

ii) 船舶海象情報のデータベース化に関する研究
 波浪データベースは、GEOSATの高度計データによりその範囲を地球全海域に拡張する。さらにエネルギー対流という観点から、船載型ライダーによる海上での大気圏観測データをデータベース化し、公開する。海氷データベースでは、オホーツク海海氷データベースを完成させ公開するほか、衛星データにより海域を北極海全域に拡張する。また、氷厚分布の実測データも合わせて公開する。データの信頼性やデータ適用範囲等、利用者にとって有意義な情報についても、www上から確認できるようにする他、使い易さについても改良に取り組む。

iii) 電離圏・太陽−地球間環境情報の分散データベース化及び利用に関する研究
 地球を取り囲む電離圏データ、中層大気風データ、太陽画像データ、太陽−地球間環境情報等、大容量の観測データのデータベース化及び準リアルタイムデータ利用技術についての調査研究を行うとともに、省際ネットワークを介して幅広くデータを提供するためのデータベースシステムについて調査研究を行う。

iv) 地理情報ディレクトリデータベースの構築に関する研究
 地理的・属地的情報について、国内外研究機関の関連データ保有状況を調査してその所在情報を網羅的に把握し提供する「地理情報ディレクトリデータベース」を構築し、これにより省際ネットワーク上の情報を横断的に検索するための調査研究を行う。

v) 建設環境情報のデータベース化に関する研究
 省際ネットワークを介して河川流域単位の水環境データを幅広く提供していくことを目的として、地形・地質・土地利用等の地図情報、雨量・河川流量・河川水質等の自然系水環境情報、並びに上下水道等の人工系環境情報をGISの形態で提供するデータベースシステムについて調査研究を行う。

vi) 地球環境情報の基盤的データベース構築に関する研究
 地球観測衛星のデータを始めとする各種の地球観測データについて、国際的な流通を実現するために、国内外におけるデータベース構築に関する最新技術の調査および調整を図り、データの豊富化、検索機能、準リアルタイム処理、効率化等の機能強化の調査研究を行うと共に、横断的な地球観測データの利用に関するユーザ要求の調査研究、データベースを利用しやすくするためのAccountability向上に関する調査研究を行って、構築するデータベースが真に有効なものとなることを目指す。


(2)データベースシステムの制度・運用に関する調査研究

 各研究機関が、実際にデータベースシステムを整備・運用した場合の制度・運用面の問題点に関して、調査研究を実施する。特に、国外および国内のデータベースの知的所有権に関する動向や、諸外国における先進事例について調査し、地球観測データのデータベース整備・運用に関するガイドラインを検討する。

vii) 地球環境研究のための統合データベースシステムに関する調査研究
 第I期においては、地球環境関連研究情報の整備・運用に係る各種の問題点を明らかにするとと共に、整備・運用に係る基本的考え方を提言した。
 第II期においてはこの結果を踏まえ、知的所有権に関する国際的スキーム、あるいは各国等個別の検討状況、国内においては情報公開にかかる検討状況を踏まえるとともに、内外の研究機関における先進的な研究情報流通促進方策およびガイドライン事例を調査・検討することにより、我が国の国立研究機関等における研究情報流通促進のあり方について提言を行うこととする。


3.年次計画


II.実施体制


III.研究推進委員会



[Home]

Comments to: mail@jodc.jhd.go.jp
Last Update: 19 September 1997