JGOFSデータ管理委員会等出張報告

4 海洋生物データ管理に関する情報交換

(1)日 時  平成10年9月22日(火) 10:00−13:00

(2)場 所  アムステルダム大学生物分類専門センター

(3)面会者  Dr. Rob Heijman

(4)意見交換概要

(i) 当方から、海上保安庁水路部及び日本海洋データセンター(JODC)の活動の概要について背景情報として紹介し、今回訪問の主目的である、我が国の海洋生物データ管理、それに伴う海洋生物コードの整備状況、さらに今年度から開始したベントスのデータコード作成の考え方等について説明した。

(ii) Dr. Heijmanから、ETI(Expert Center for Taxonomic Identification)の概要について説明があった。

 ETIは、生物多様性保護のため生物種に関する情報を整備して一般に公開することを目的として8年前に設立された非営利団体。主としてオランダ政府の科学基金のサポートを受けており、実質的にはアムステルダム大学の一部のような位置づけとなっている。
 地球上の生物種の多様性を保護していくことは、現在の人類に課せられた極めて重要な課題であるが、そのためには、生物種やその分類に関する情報が不可欠である。しかしながら、現実には1980年代以降、分類学者が減少していて的確な対応が難しくなっていた。各国バラバラの取り組みだと非効率であることから、ETIという概念が出てきた。ETIは、各国の関係機関の協力を得て、生物の分類に関するさまざまなプロダクツ(CD-ROMほか)を刊行している。日本におけるETIの窓口は、四国大学のProf. Sakaiである。
 ETIは、ソフトウェアの専門家数名を含めて24名のスタッフを擁し、これまでにさまざまな生物種を対象に20枚以上のCD-ROMを刊行した。生物の名称、採取地、分類上の位置づけなど、いろいろな方向から検索が可能なシステムで、各生物のスケッチを画面上で見ることができる。一部の生物については、写真や動画、鳴き声なども収録されている。
 Heijman博士によれば、今後は各国とのネットワークを強化する方向であり、米、独、英(大英博物館等)、日、ロシア、豪とはすでにネットワーク化について話をしている。それとは別に、豪CSIROとはデジタル刊行物の内容に関する共同プロジェクトを開始した。

(iii) 生物データ管理についてHeijman博士と意見交換を行った。

H博士:
JODCの生物データコードについては、以前からETIも知っており、10年前としては極めて先進的であったと評価されている。今後の拡張については、米国のITISやSpeceis2000といった国際計画と連携が不可欠である。ETIも可能な協力は惜しまない。
当方 :
JODCの生物データ管理は、国内では東京水産大学の大森教授の指導のもとで行っており、国際的には米国の海洋データセンター等と連絡を取り合っている。「生物多様性」というキーワードに関連する部分では、ETIと連絡を密にしていきたい。
H博士:
直接連絡をとってもらってよいが、ぜひETI-Japanの、四国大学Sakai博士とは連絡を取り合った方が良いと思う。