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    海洋生物コードの概要(第2版: 1995年)

                                1996/2/13 JODC

                                2000/6/8一部変更

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1.コード化の範囲

 現在のところ、海洋生物の内、特にプランクトンとして出現するものを対象としてコード
化を行なった。 
 したがって、海洋中に出現しないM0NERA(モネラ界)、LICHENES(地衣界)、およぴPLA
NTAE(植物界)の内BRY0PHYTA(コケ植物門)は、コード化されていない。また海洋中にも
出現はするが、MYC0TA(薗界)とVERTEBRATA(脊椎動物門)の内、TETRAP0DE(四肢動物上
綱)は、現在コード化されていない。 

 上記以外の門から目のレベルについては、海洋中に出現する全てのものについてコード
化した。 

 科レベルより下位のコード化については、日本海洋プランクトン図鑑(山路 勇、l984
、保育社)、日本産魚類大図鑑(益田 一ら編、l985、東海大学出版会)に記戴された全
ての生物についてコード化するとともに、それ以外の生物についても日本近海に出現する
ものを中心に多くの生物をコード化した。

2.コード化の方法

 
 分類コードは、下に示すような14桁の整数からなっている.門あるいは綱などの各分類
レベルに各々2桁ずつ割り当てられ、分類学上の体糸と一致するようになっている。 


  |−−|−−|−−|−−|−−|−−|−−|(14桁)

   門  綱  目  科  属  種  亜種
                    (変種)
                    (品種) 


 さらに、分類コードとは別に、分類コードとは対応せず、生物群あるいは種の名称と一
対一に対応したコード(これを名称コードと呼び、5桁の整数で示される)も作成されて
いる。この名称コードは必ずしも必要なものではないが、次のような観点からこのコード
が作成されている。 

(1)観測表からコンピユーターで読み込むためのデータにするためには、観測表に記入さ
れている生物名を分類コードに変更する必要がある。このとき、分類コードは桁数が多い
ので、桁数の少ない名称コードを利用し、コンピユーター上で分類コードに変更する方が
労力を軽減できる. 

(2)シノニム(異名同物)や和名など、1つの生物が複数の名称を持つ場合が多い。この
ような場合、1つの生物群あるいは種に対しては同一の分類コードが与えられる。しかし、
一度分類コードに変換してしまうと、観測表上にはどの名称が記載されていたのかが不明
となってしまう。したがって、コンピユーターで利用するためのファイルから観測表とほ
とんど差異の無いものを再現する必要のある場合は、この名称コードも記録しておくこと
により、観測表にどの名称が記載されていたのかを知ることが出来る。 

(3)現在のところ分類の不十分な生物では、分類の変更の起こることがある。名称コード
をファイル中に記録することにより、分類の変更に広く対処できる。 

 このように生物の名称と分類コード及び名称コードが1つのまとまりとなっており、こ
の様子は以下のようである. 

分類コード
名称          
名称コード 
分類レベル
21
PHYC0PHYTA
00013 
2l09
BACILLARIOPHYCEAE
00099
2l0903
BIDDULPHIALES 
00106 
2l090302
CHAETOCERACEAE
02172
2l09030201
Chaetoceros sp.
02173
2l0903020ll4  
Chaetoceros affine
02192
210903020ll40l 
Chaetoceros affine v.circinalis
02193 
亜種(変種、品種)
(上で示した分類コードは、見易くするため、表現している分類レベル以下のコードをブ
ランクとしているが、実際にはゼロが埋められる。)

●名称コード配置
          00001〜02000:門、綱、目レベル
          09001〜09999:幼生名
          02001〜09000:科及びそれ以下の脊椎動物以外
          10001〜     :脊椎動物

3.sp. ssp.の処理

 

 このコード化では、最小の分類レベルが属レベルのもの(分類コードの種、亜種レベル
のコードが'00’)の学名については、属名だけでなく属名のあとにsp.を付加している。
これは、観測表中で報告される様式に対応させたものである。したがって、sp.とspp.の違
いについては表現していない.また、1種1属の生物についても、体糸的なコード化のた
め、属レベルのコード化(学名は、xxxxxxxx sp.)が行なわれている。

4.シノニム、和名、英名などへの対応

 生物名は、タクソン名だけでなく、和名や英名などで報告される場合がある。また、シ
ノニムの場合には同一の生物に対して異なった名称で報告される場合がある。これらにつ
いては同一の分類コードが与えられるべきであり、ここでもそのように対処している。た
だし、各々の名称には異なった名称コードが与えられている。このような方法により、あ
る名称に対応する分類学的な位置と、報告された時点での名称の両方に対応できるように
なっている。

 この場合、同一の分類コードに対していくつもの名称が存在することになる。しかし、
タクソン名はそのタクソンに唯一のものである必要があり、どの名称をタクソン名とする
のかを判定するための印(名称フラグ)を付加している。

 名称フラグが空欄のものをタクソン名とし、名称フラグをSとしたものはタクソン名と
しては扱わないものとする。 

 
分類コード
名称フラグ
名称
名称コード
  2109

 

BACILLARI0PHYCEAE
00099
  2109
S
DIAT0MS
00100
  210404010401

 

Noctiluca milialis
02607
  210404010401
S
Noctiluca cintillans
02608


5.幼生名への対応

 このコード体糸では、生活史や性別などは取り扱っていない。従って、それらを必要と
する場合は、利用者自身でそれらの情報を付加する必要がある。

 ただし、ある生物の幼生の報告がある場合、その生物の名称と幼生名の両方が報告され
ず、幼生名のみが報告される場合も多い。そこで幼生名だけが報告された場合にも、その
幼生名から判断できる分類レベル(タクソン)に対応する分類コードをつけている。この
とき、分類コードは基本的に門・綱・目・科・属・種・亜種(変種、品種)という7つの
分類レベルのみを表現しているため、コード化した分類レベル以外の分類レベルに幼生名
が対応する場合、コード化の対象としている最も近い上位の分類コードを与えている。ま
た、その名称が幼生名であることか判るよう名称フラグをLとし、名称の前に〈LARVA〉と
いう接頭語を付けている。 



  
分類コード
名称フラグ
名称
名称コード
  70

 

ECHINODERMATA
01361
  7005

 

ECHINOIDEA
01397
  7005
L
<LARVA>ECHINOPLUTEUS
09093


6.亜門、亜綱等ヘの対応 
 先述したように、分類コードは基本的に門・綱・目・科・属・種・亜種(変種、品種)
という7つの分類レベルを採用している。しかしこれ以外の分類レベル(例えぱ、亜綱、
上科など)のタクソン名の方がよく利用される場合には、その分類レベルで代用すること
が便利であり、ここでもそのような取扱を採用している。

 ただし、採用されたタクソンとそれを包括するようなより上位のタクソンが同じ分類レ
ベルとして採用されることはない。下の例では、CEPHALOCARIDA亜綱が採用された場合、
それを包括するCRUSTACEA綱は分類コードにおける綱レベルにコード化されることはない。 



	
分類コード 
  名 称 
分類レベル
64
  ARTHROPODA 
6403 
  PYCNOGONIDA 
6404 
  CEPHALOCARIDA 
亜綱
6405 
  BRANCHIOPODA 
亜綱
	(CEPHALOCARIDA、BRANCHIOPODAは、CRUSTACEA綱に属する) 
 上記のように特別に分類コードで表現できる分類レベル以外のタクソン、つまり亜・・・・
、上・・・・といったものについては、分類コードで対応している分類レベルの内、そのタク
ソンを包括する最も下位のレベルの分類コードとし、名称フラグをSとした。 
 
分類コード
 名称フラグ 
名称 
名称コード
  641114 

 

 DECAPODA 
01166
  641114 
S
 ANOMURA
01609
  641114 
S
 BRACHYURA 
01611

 

7.分類不明種

 分類不明の生物や、分類学上の位置を特定できないようなもの(例えば、不明種卵とい
うような報告)に対しては、門レベルのコードに'99'を与えた。

8.ファイル様式

 現在までに作成されたこれらのコードは、コンピユーターでの利用が可能なようにファ
イル化が行なわれている。ファイル様式は以下に示すように、名称コード、分類コード、
名称フラグ及び名称から構成され、これを生物コードファイルと呼んでいる。 

生物コードファイル様式
 名称コード    1- 5 カラム 00001−99999(整数)
 分類コード   6-19 カラム 10000000000000‐99999999999999(整数)
 名称フラグ      20 カラム 空欄:タクソン名、S:和名、シノニムなど、L=幼生名
 名 称      21-75 カラム タクソン名、和名、英名、幼生名など

9.利用に当たっての注意

 このコードは、現在日本海洋データセンター(JODC)の海洋生物データ管理システ
ムで適用され、適宜コードの追加や分類の変更に応じて、コードの変更を行っています。

 このコードの利用に際して、不明な点や誤りを発見した場合には、速やかに連絡して下
さい。
 また、新しいコードが必要な場合、利用者が勝手にコード付けをせず、日本海洋データ
センターに協議して下さい。なお、アップデートされた生物コードファイルについては、
日本海洋データセンターより希望者に提供しています。 


         海洋生物コードに関する間い合わせ先
         日本海洋データセンター
         (海上保安庁水路部海洋情報課)
         〒l04-0045 束京都中央区築地5一3一1 
         TEL:03-354l-4295 
         FAX:03-3545-2885
 

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 ここで採用した分類体系は、一般に広く利用されていることも体系採用の一つの基準と
しているため、検討会委員及ぴアドバイザーの方々の提唱されている体系と、必ずしも一
致しないものもあることをご理解下さい。また将来、状況に応じてこれら分類コードを変
更することがあることも併せてご了承下さい。
(名称コードについては観測データの継承性を保つため原則として変更しません。)

-------------------------------------------------------------------------------  初版(1988年)時の検討会委員及びコードアドバイザー

この場を借りて、ご協力頂きました先生方に感謝いたします。

●海洋生物データ管理システム検討会委員(50音順、敬称略)


石川 公敏 通産省公害資源研究所
今島 実  国立科学博物館
大森 信  東京水産大学
沖山 宗雄 東京大学海洋研究所
久保田 正 東海大学海洋学部
佐野 昭  気象庁気象研究所
鈴木 秀彌 水産庁水産工学研究所
高野 秀昭 水産庁東海区水産研究所
高橋 正征 東京大学理学部
千原 光雄 筑波大学生物科学系
福代 康夫 東京大学農学部
古橋 賢造 気象庁汚染分析センター
村上 彰男 三洋水路測量株式会社
森 巧   日本海洋データセンター
渡辺 信  環境庁国立公害研究所


●海洋生物コードアドバイザー (50音順、敬称略)

池谷 仙之 静岡大学理学部
岩田 文男 北海道大学理学部
氏家 宏  琉球大学理学部
梅崎 勇  京都大学農学部
奥谷 喬司 東京水産大学
久保田 信 北海道大学理学部
齋藤 実  横浜国立大学教育学部
志賀 直信 北海道大学水産学部
鈴木 実  日本大学法学部
永田 樹三 
村野 正昭 東京水産大学
山口 寿之 千葉大学理学部