１．モデル改良：海洋の循環場を外部（順圧）モードと内部（傾圧）モードとに分解して、外部モードは、従来の固定海面型に対して、自由表面化を許す浅海方程式を短いタイムステップで解く方法に改良した。海面での塩分フラックスのかわりに淡水フラックスを直接与えることが可能となったが、計算時間は１割程度延びた。これと平行して、従来（固定海面）の北太平洋モデルを高解像度化し、中規模渦を含む実験を行った。

２．モデルシュミレーション：高解像度モデル実験において、日本南岸での黒潮の直進・蛇行流路、直進から蛇行流路への遷移過程、並びに房総沖での実現的離岸等がモデル内で実現できた。また、北太平洋中層の塩分極小層の形成に関連して、中規模渦の拡散効果の重要性を調べる実験を現在継続中である。

３．観測データ解析：World　Ocean　Atlas　1994の元となった各層観測及びCTD/STDデータ（NODC　archive）から北太平洋中緯度のデータを抽出し、等密度面座標の枠組みで品質管理を施し、不良データを除去した。このデータを等密度面上で平均化して水温、塩分、溶存酸素について緯度、経度１度毎の気候値データを作成した。

１．モデル改良

　海面素過程の高精度化に関して、海面混合層と海水過程のモデル化の導入を加え、さらに、平成９年度開発した高解像度モデルと統合することにより、モデル改良のプロセスを終了させる。

２．モデルシュミレーション

　平成９年度開発した固定海面型の高解像度モデルによる実験を継続し、黒潮・親潮フロント構造、日本南岸での黒潮流路、並びに、黒潮の離岸等の現実的な再現をさらに試みるとともに、北太平洋中層水の形成と油層についてのシュミレーションを行う。さらに、この実験結果を初期値として、上記の高精度解像モデルによる実験を開始し、表層混合層の季節変動サイクルの再現と熱・物質輸送（Ventilation）の評価を試みる。

３．観測データ解析

　水塊形成過程を適切に表現できるように混合層の気候値データ作成法に改良を加えることを委託する。

　無