平成11年度第3回「モデル化及びデータ管理」分科会 議 事 録 (案)
<日時・場所> 日時:平成12年2月18日(金) 10:00より12:00まで 場所:水路部7階中会議室
<出席者>
(分科会委員) 遠藤昌宏分科会主査(海洋科学技術センター)、石崎 廣(気象研)、杉ノ原 伸夫(東京大学)、 須賀利雄(東北大学)、滝沢 隆俊(海洋科学技術センター)、高芝 利博(水路部JODC)、 永田 豊(日本水路協会海洋情報研究センター)、深沢 理郎(東海大学)、道田 豊(水路部)、 吉岡 典哉(気象庁)、寄高博行(水路部)、渡邊朝生(遠洋水研)
(欠席委員) 佐々木克之(中央水研)、安田 一郎(東京大学)
(オブザーバー) 佐藤敏(海洋情報課)
(事務局:海洋情報課) 高芝利博(委員兼務)、溝部隆一
<議事概要>
1.議事録確認 事務局(高芝)より前回議事録案についての意見等を求めたところ特段の意見なく了承された。
2. 平成11年度の研究成果報告 主査:本日は平成11年度の成果、評価を基に、U期以降のことに関して分科会で何をするか 報告してもらい、それを基に推進委員会に報告する。 平成11年度の成果についての報告については、平成11年度分だけでなく3年間の流れで説 明して下さい。 また、平成12年度の実施計画については、T期の評価の際に作った表を前提にしてU期の計 画を作った。具体的な話は資料4で説明します。 以上のことを本日検討してもらいたい。
以下各担当から資料−2に基づき説明が行われた。 @ インバースモデルの開発(杉ノ原伸夫) ・これまでrobust diagnostic model の開発が主な目的である。 ・昨年度からは予報モデルの改良を行っているが、robust diagnostic modelの解自体が予報 モデルに依存する率が高い。 ・海底境界層を入れることにより、深・底層の再現性が良くなる。 例えば、その効果として、オーバーフローがスムーズに生じた。問題は黒潮の離岸であるが、 これががうまく出来ると、中層がうまく出来ると思う。また、オホーツク海の影響を正しく与え ないとオーバーターンをまともに再現できない。
・U期の目標として、予報方程式にさらなる改善を加える。 改善したモデルを用いて、パラメータを種々変えて、世界海洋大循環モデル(1゜×1゜×40 レベル)を実行する。モデルに太平洋のいくつかのWHP測線データを同化する。
A データ解析とデータ解析手法の開発(深沢理郎) ・ 11年度の成果として、栄養塩データを使って亜寒帯域の東西を中心としてケイ酸塩の態変化 量及び鉛直拡散係数を推定した。 ・ 同化モデルについて、全球アジョイントモデルGCMの構築に向けて表面FOWRDMODELを作成し計 算を行った。 ・ データ収集解析については、KNOT海域ではP2Δ14C資料の分析を、47度線観測ではLADCPデータ を取得するとともに、CTD塩分、水温の品質管理が終了した。 ・ U期の予定として、同化モデル以外について、風データ及び海洋の歴史的観測資料、WHP観 測資料を合わせて利用し、KNOT海域では年スケールの成層構造と物質輸送の変動、47度線 では特に中層から深層にけての10年以上のスケールを持つ変動の記述と物質輸送量の見積もり を完成させえる予定である。
B北太平洋大循環モデルによる亜寒帯循環系の構造とその変動に関する研究(石崎廣) ・ファインメッシュモデルを改良し、黒潮の離岸に妥当性がない結果がでた。 日本南岸の黒潮の流路が一応安定して現れたがそのパターンの物理的意味は不明である。 今年度の成果として昨年度の成果を見直した。 ・親潮の位置がちょっと北に移動した際の変化等をU期の課題としたい。
C北太平洋大循環モデルによる亜寒帯循環系の構造とその変動に関する研究(須賀利雄) ・等密度データを中心に高解像度データと比較した、データを作るところまで終わった。 ・表層から中層までの代表的な密度面についての気候値データを気象庁作成のCD−ROMに収 録した。 ・評価委員会では、中身の解析の重要性と他の課題との情報交換を行うとの課題がついているの でそれに対処する。 ・U期の目標として、10年スケール変動に対応して、表層、亜表層水塊がどのように変動して いたかを明らかにする。 ・ftpサイト:flotsam.whoi.edu/pub/hydrobaseから北大西洋についての気候値データの入手が 可能である。
Dモデリング結果等の利用促進に関する研究(吉岡典哉) ・ 平成11年度の成果として、SAGEホームぺージの内容を充実させ、広く一般に紹介を行っ た。 ・ U期以降は、HPをメインにデータ配布を考えており、成果の掲載について議論を行い、指針 等を作成配布することを考えている。 ・ 平成11年度版の研究成果CD−ROMを作成して、研究推進委員会及び各研究担当機関に配 布した。(3月20日にデータセットを配布します。) ・U期の目標として、T期に引き続き本研究課題のために研究者相互間の情報交換を迅速化して 研究を推進するためのFTPサーバーを運用する。 ・ 本研究課題における海洋観測データ解析結果等を単年度毎にCD-ROMにとりまとめ、成果として 公表する。
E海洋データの管理及び情報提供の推進(高芝 利博) ・本プロジェクトを支援するため、インターネットを経由して国内外の研究者が同データ及び関 連データに容易にアクセス出来るデータベースを整備した。 ・JODCで運営する第4分科会ホームぺージ上に設けた本プロジェクト関連データ等の更新を 適宜行った。 ・第U期の計画として、本プロジェクトにおいて取得される海洋データのデータベース化を図り、 迅速な提供を図るとともに、こデータに基づいた成果物の作成を行う。 ・ 本プロジェクト参加機関の研究者に対し、調査データ及び調査に係わる情報の提供をするとと もに、国際的な交換窓口を担う。
F高精度海洋データ整備のための品質管理手法の開発研究(永田 豊) ・平成11年度の成果として、本プロジェクトで生産されたデータの品質管理を行うとともに、 亜寒帯域の歴史データについても、プランクトンデータを含めて品質管理を施した上でデータベ ース化した。またメタデータの付加作業も実施した。 ・本州東方の混合水域を対象として、その海洋学特性を考慮して拡大した過去の資料の統計から、 この海域に提供すべき品質チェックに関する各種パラメータの設定方法を検討した。 ・U期の目標として、取得されたデータの品質管理。データベース化の作業を続行する。 ・また、開発されたデータ・品質管理プログラムの英語版を作成し、開発途上国を中心に提供を 始める。
3. 第T期の研究評価報告及び第U期実施計画等について
@高芝委員から資料−3に基づいて説明された。 ・総合評価はbであった。 ・第U期研究構想について意見が有れば推進委員会までに言ってください。
A杉ノ原委員からU期の資料−4により研究体制の説明が行われた。 U期からは、研究代表者及び研究サイドのとりまとめ担当も設置することとなり次のようになっ た。 研究推進委員会の構成は資料−4のとおり、花輪公雄さんを委員長とする。 ・各分科会の主査 1:道田、 2:安田、3:津田、4:永田 ・研究代表者としては深沢委員 ・とりまとめ事務局:事務サイド(科技庁)+研究サイド(東北水研:伊藤さん) 以上の案で推進委員会で承認をもらうこととしたい。
・研究の趣旨を一言で表す言葉として、実施計画案にあるように、「北太平洋起源のオーバータ ーンの構造と強さの解明を目指す」と言う表現を採用した。
4. その他 @道田委員:パンフレットについて ・パンフレットを作成する話がある。事務局は東北水研の伊藤さん。3月中に印刷にかけたい。 (カラーの8頁、和英) ・ オーバーターンのイメージが分かるよう、各WGでT期の成果を踏まえU期の計画を各1頁 でまとめてもらいたい。既存の絵とU期の考え方のポンチ絵を29日の推進委員会までに間に 合わせてもらいたい。(表紙:須賀委員作成中)
A遠藤主査:予算について ・ U期の予算については、3月上、中旬に内示があるが、その際、拡大幹事会で提出した案を ベースに再度積算を提出してもらうことになる。 B 深沢委員:SAGEデータの収集について ・SAGE全体でどの位の測点があるのか不明なので調べたらいいのでは。 ・ データ管理についてはQCをしなくていいので、データを効率良く交換されるようにすべき である。 ・ JODCでデータを集めるためには、SAGEのプロジェクトで産出されたデータを所在等 (測点リスト)の情報だけでも把握しておく必要がある。そのためには、各主査を通してその 手の情報の提供をお願いしたらいいのではとの提案がなされ了承され事務局で対応することと なった。 ・ また、このような調査を半年に1回ぐらいしていくのがいいのでは。
C 高芝委員:科学技術庁からの連絡事項として ・研究概要について意見があれば24日までにお願いします。 ・ U期以降は、2,3月に分科会を開き、各分科会が合同でワークショップを1回行う(来年 度は気象研究所が担当) ・ シンポジューム等の旅費は個々の研究者で請求することになるので注意すること。
以 上