平成10年度第1回亜寒帯議事録
<日時・場所> 日時:平成10年10月23日 14:00より17:00まで 場所:水路部7階会議室 <出席者>
(分科会委員) 遠藤 昌宏(主査)、石崎 廣(気象研)、金子郁雄(気象研)、須賀利雄(東北大学)、 佐々木(中央水研:小埜代理出席)、杉ノ原 伸夫(東京大学)、滝沢 隆俊(海洋科学技術センター)、 永田 豊(日本水路協会海洋情報研究センター:岩田代理出席)、深沢 理郎(東海大学)、 道田 豊(水路部)、安田 一郎(東京大学)、吉岡 典哉(気象庁)、寄高 博行(水路部)、 渡邊朝生(遠洋水研)、高芝 利博(水路部)
(オブザーバー) 矢吹 哲一郎(科技庁)、小出 孝(気象庁)、安田(気象研) (事務局:海洋情報課) 高芝(委員兼務)、芝田、三宅、中里、溝部
<議事概要>
(委員の交代について) 高芝: 委員交代報告 水産庁:水野 恵介 → 渡辺 朝生 気象庁:吉田 隆 → 吉岡 典哉 海上保安庁から 新たに道田 豊 (科技庁報告) 科学技術庁(矢吹さん)から来年度予算等について、次の報告があった。 3年目の来年度は予算2億9千万で2千万の増加の見込みである。 平成11年度は3年目なので中間評価があるので、よろしくお願いしたい。詳しくは次回の分科会 で連絡するが、来年の11月、12月に評価ワーキンググループを設けてヒアリング等を行うため、 来年秋には評価に向けた対応が必要。
以下、遠藤主査の議事進行の下、議事次第に沿って議事がなされた。
1.議事録の確認(資料−1)
高芝委員から、前回議事録につき、議事録案は既に委員に渡してあるので、本日の会議終了ま でに特段の意見がない場合、本日提出案で了承されたものとしたい旨の確認がなされた(結果、特段の 意見がなく了承された。)。また、本議事録は第4分科会のホームページへ(JODCで作成したもの) 掲載することとなった。
2.平成10年度の研究計画(資料−4)
10分を目途に、次の各研究課題について、各担当から平成9年度の報告及び平成10年度の計画が 報告された。
@データ解析とデータ解析手法の開発 Aインバースモデルの開発 B北太平洋大循環モデルによる亜寒帯循環系の構造とその変動に関する研究 Cモデリング結果等の利用促進に関する研究 D海洋データの管理及び情報提供の推進 E高精度海洋データ整備のための品質管理手法の開発研究 F中層循環の実態解明に関する観測研究
(データ管理関係了解事項)
研究課題Cの吉岡委員の報告に対して、 杉ノ原:世界的にも新しい試みとして注目されているので、ホームページへのアップデー トはできるだけこまめに願う。→ 吉岡委員了解
研究課題Dの高芝委員の報告に対して、 遠藤主査: 気象庁で運用している関係ホームページとJODCのページとのリンクを願う。 → 吉岡委員、高芝委員了解
3.その他 ・亜寒帯におけるデータポリシーについて(資料−2)
道田委員から、資料−2の「北太平洋亜寒帯循環と気候変動に関する国際共同研究」における データポリシーについての説明がなされ本議題の討議に入った。
主査:この前の議論をもとに修正し、各分科会で議論し調整済みのものであり、資料−2は推進 委員会へ報告する。本日の議論を踏まえ再度、各分科会で議論し(特に:化学、生物データについ て)てもらい第2回分科会で再度議論を行う。データポリシーとしては、WOCEやKERと比べ ても、緩い方で特に問題ないと思う。
(提出データの扱いについて)
主査:二酸化炭素データについては、気象庁(JMA)が管理するということで前回確認していたの ではなかったか。 小埜(佐々木委員代理):二酸化炭素分科会の方でも問題となったことであるが、二酸化炭素データ は個々の研究者で管理した方が都合がよいので、データの管理は個々の研究者にまかせる。 ただし、ボトルデータ(各層観測等で得られる海水中のTCO等のCO2データ)については、 JODCへ、それ以外のpCO2等は気象庁へ提出し、インターネット上でリンクをはることで 対応する。表層二酸化炭素データについては、気象庁の方で管理できる。
(データの提出期限・公開時期について)
道田:データ公開時期は、事務局案ではJODCに提出後3年間は関係者のみとしているが、これは 観測後原則として3年間とすべきか。 吉岡:XBT等のデータは世界的にみても一般公開までの期間が短いが、JODCのデータポリシー案のまま だと、提出から3年間は一般公開しないことになっている。例外規定を設けてみてはどうか。 深沢:一般に公開することに対して二の足を踏む研究者も多く、また一般公開を拒まない研究者であ っても2〜3年の提出期限では困るというケースもある。欧米などの他のプロジェクトなどでは 公開期限を5年としていることが多く、2〜3年という期限の設定は、フロン、二酸化炭素など のデータについてはなおさら無理があるのではないか。また、非公開期間の決定はデータ観測時 を基準にすべき。 主査:この3年は、最大公約数、実際問題としてこれが適当では。 深沢:同じデータであっても、このSAGEのプロジェクトのデータとして扱う場合は3年後に公開 とし、他のプロジェクトで扱う場合は、そのプロジェクトで定める公開時期に公開すると考えて もいいのでは。 道田:データ提供者の了解があれば、公開期間前であっても一般公開するということで対応したい。 また、期間算出の基準はデータ観測時に改める。後ほど修正案についてメールで照会する。 主査:提出期限については、データ種類ごとに事情が異なるだろうから各分科会で検討願いたい。
(データの重複の可能性について)
渡邊:水産庁の観測データは別のルートでJODCに提出されることもあるが、それは新たなデータの 重複を生じないか。 三宅(JODC):それはJODCがデータを受け取った段階で重複チェックを行えばよいので全く問題ない。 主査:この草案はWOCE及びKERのものを参考として作った。 他の分科会でのデータポリシーについての扱いはどうでしたか。
[第3分科会] (提出するデータについて)
小埜:第3分科会ではデータフォーマットについて議論になり、厳密にすると項目毎にフォーマットを 換えなければならない。提出するデータのフォーマットについては、現段階ですでに多くの研究者・ 機関ごとのものが存在しており、統一は無理。一つの案として昔、JODCがMASFLEXの時 にやったような(各研究者が出したデータフォーマットのまま配布・入手しCD−ROMに集める だけ)ものが最初の2年間は現実問題としていいのでは。 三宅:その場合、個々のフォーマット、使用分析機器等に関する情報を最低限共通のインデックスとし てまとめておく必要がある。最低限必要なデータ項目とか分析方法とか。 小埜:各研究所として統一のインデックス化は可能と思うが他省庁、他研究所間では不可能であろう。 いずれにしろデータ項目毎では難しい。特に生物データは項目が多く、研究者にい依存する部分が 多くインデックス化は不可能だろう。 (生物データの場合は、データの野帳記入からデータ入力までの作業には研究者が携わらないことが 多い。研究者はデータを解析するだけ。) 道田:JGOFSなどでもMASFLEXの場合と同様のポリシーで進めている。MASFLEXの場合は、フォーマット等 のしばりをかけるとデータが集まらなくなること、早い時機に成果物として残しておく必要があるこ との理由からあのような形をとった。データセンターの立場としては、データフォーマット云々より も最終的にデータをちゃんと提出してもらうことを優先する。貴重な観測データが日の目を見ないで 消失されるのは避けたい。必要情報の統一については各分科会とJODCで直接話を進める必要があろう。 主査:JODCとして統一フォーマットはあるのか。 三宅:あるものもあるが、時間と入力に手間がかかる。物理・化学データの量に関する(数値化され得る データ)データに関してはJODCで統一フォーマットは可能と思う。 主査:外国では、データフォーマットについての何らか取り決め等をしている例は有りますか。 道田:JGOFSでは一定の取り決めを設けている。 主査:とにかく集め、配布することをモットーにする。
(データ品質の問題)
小埜:品質の問題もある。ケミカルデータだとどっちが正しいかとか問題になることもあり、品質管理を どこで行うかという問題がある。 三宅:JODCの現状ではデータマネージメントはできても品質管理まではできない。化学・生物データに関 と考える。JGOFSではDMAGという組織が別に品質管理を行っている。今回のデータ管理に当た っても同様となるのが望まし。 主査:今後生物のデータが出てくるので全て品質管理する必要がある。
[第2分科会]
安田(一):第2分科会としての考えは、この案の中に全て組み込まれているが、気象庁のデータについ ての取り決めが問題となるが、それ以外にはない。
[第1分科会]
深沢:気象庁のトランスパックはこんな取り決めをしなくてもすむ。データをオープンにするのは拒まな いが、データポリシーを考えると、2年は厳しいのでは。私としては、本プロジェクトのデータとは 何かという仕訳が疑問である。例えば、1つの航海が複数の予算で運航されている場合や、複数の研 究者が観測している場合、それら全部をSAGEのデータとして提出を求められるだろうか。少なく とも航海から得られたデータの全てが本プロジェクトの成果物という訳ではないと思う。その分け方 は問題である。 安田:第2分科会でも同様な問題が生じた。 深沢:研究者によって違う。資金は別だが、これはSAGEのデータという人もいる。 安田:SAGEプロジェクトの成果として主張したいデータのみをプロジェクト観測データとして公開す るのはどうか。これ以上のものは微妙である。 主査:はっきり分けることは難しいだろう。これらについては、各分科会で再度検討願いたい。 深沢:「みらい」の場合はデータ使用に関してJAMSTECのルールに任せている。 杉ノ原:データーポリシー「1.海洋データの提出時期」の最初に目処という文言があるから提出期限に ついてはこれでいいのでは。 深沢:SAGEのプロジェクトで入手したデータは必ず公開ということを書くのは問題あるかと思う、ま た、提出時期は「目処」でいい。 杉ノ原:問題があれば提出時期を遅らす。
(他のプロジェクトとの関係)
矢吹:プロジェクトの成果として観測データを提出するのは当然であるが、これ以外に、評価の段階で、 論文のようなきちんとした成果を残してほしい。 遠藤:プロジェクトの成果として提出すべきデータの種類については各分科会で諮ってもらいたい。観 測データは問題ないが、加工後のデータ、計算データの扱いはどうするか。 杉ノ原 データベースは公開することに価値がある。調査データと数値計算結果とは別である。 主査:数値計算結果等の取り扱いについても前に議論しましたか。 高芝:していないと思う。 主査:大枠はこれでいい。 矢吹:気象庁の研究では、研究の成果を示した後に評価の段階で研究者のデータとして出していく。成果 (論文だけでなく)をデータとして出して行く。 道田:JODCの立場から言えば、最終的には出してきて欲しい。 このようなデータポリシーを決める理由はきちんとデータを出してもらうことにある。 (プロジェクトが終わると集まらないことがある。) 三宅:提供データの中にはMTなどを使う場合もあるが、データ入手まで時間がかかりすぎると、解読不 可能であったり、時間がかかる等の問題がある。JODCはデータを提供者に返すこともできるデー タバンクである。 道田:本日の意見を参考に、修正したものを本日中にみなさんにメールでお見せしますので、月曜日まで にご意見を下さい。
(気象庁からの意見)
吉岡:気象庁では、気象庁データ公開に関して一般に情報を公開する場合は気象業務支援センターを経由 し、有料というのが建前になっている。「無条件に一般に公開」のくだりの個所は修正が必要。この データポリシーだと無料でデータを出すことになり問題が生じる。 また、このデーターポリシーがあることが、逆にデータ入手を制限してしまうこともある。「条件 を付けずに一般公開」とあるが、気象庁では気象業務法により、そのようなことはできない。この文 面では気象庁はデータを出せなくなる。 いずれにしろ、気象庁のデータはJODCにデータとして出すのだから、このデーターポリシーの 中では取り扱いに「原則」という言葉を付け足すなどする。
深澤:JODCがデーターバンクなら、WOCEで行われたように、レベル1,2とかの段階を設け、そ れに従ってデータを出すということも考えられる。 杉ノ原:SAGEにおいては、科技庁のお金によるデータではあるが同時に気象庁のデータでもある。 主査:データは一般には無料で提供されることが原則 杉ノ原:SAGEを経由して無料で提供されることとなる。 道田:JODCでも気象庁のデータを出しているが、クレームはない。 主査:問題が生じれば、その時は文章を考えよう。 道田:IOCの世界では有料ということはあり得ない。
小出(気象庁オブザーバー): 前回にも説明したがWMO温室効果世界資料センターのデータ配布のポリシーは「非商用目的の利用者 にかぎり無償で配布する」というもので、商用目的の利用者には(有償、無償に関わらず)配布出来な いことになっている。したがって二酸化炭素に関しては原案の「無条件に一般に公開」のくだりを修正 してもらえばよい。 道田:JODCも営利目的は無料にはしていない。 主査:今言った趣旨のことはこのデーターポリシーに書くことにし、WMO基準をクリアーさせる。
(その他)
深澤:第4分科会としてのこのSAGEの取り決めは、SAGE終了後3年間はこのデーターポリシーは 有効ということで了解されていると考えて良いのですね。 主査:その他になければ本議題は終わりたい。 矢吹:来年の2,3月が提出時期だからその前に、第2回第4分科会を開催する。 春に評価委員会を行う予定である。 高芝:その他なにか(特に意見なし)。特にないようなので本日の分科会を終わりたいと思います。 以上