JGOFSデータ管理委員会 出席報告

JODCニュース No.61(2000.9)から抜粋

二酸化炭素等の海洋における振る舞いを解明する研究計画「全球海洋フラックス合同研究計画(JGOFS: Joint Global Ocean Flux Study)」のデータマネージメントタスクチーム(DMTT)の会合が、2000年6月5、6日の二日間ドイツのキールで開催されました。DMTTJGOFSタスクチームの一つで、JGOFSのデータ管理について責任を負っており、以下のメンバーから構成されています。

Margarita (議長、米:NODC)
Roy Lowry(英:BODC
Graham Glenn(加:MEDS
Christine Hammond
(米:WHOI
Joachim Herrmann
Germany(独:Ifk
J. S. Sarupria
(印:NIO
Brian Griffiths(豪:CSIRO
三宅武治(日:
JODC
Marie-Paule Labaied
(仏:欠席)

 Margarita女史は、前議長のRoyの後を受けて本会議が最初の議長役で、Joachimは本会議の運営を担当したドイツJGOFSの代表ですが、この3月に任用されたばかりで、どちらも初参加となりました。

 私が本会議に参加するのは、1998年9月のベルゲン(ノルウェー)についで2度目ですが、前回は、JODCに配属されて日が浅くJGOFSそのものについて深く知らなかったこと、初めての国際会議でプレゼンテーションを行うことなどのプレッシャーが重なりずいぶんと緊張して会議に臨んだことが思い出されます。今回はメンバーの大半が旧知の間ですし、会議が開催されるキールは、2月のSOLAS会議に出席した場所の近郊です。現地への到着が真夜中になることも予想されましたが、余り不安を感じることなく出発できました。

 飛行機の乗り継ぎの都合から、ハンブルグ空港に着いたのが夜の八時半、キールまで90分の長距離バスに乗り込んだのが、午後の9時でした。前回の2月のキールは、日中でも太陽の高さは低くその光の弱さを感じていたのですが、今回は空港のあるハンブルグの日の入りが夜の9時半(それでもここの緯度はキールより南です)で、10時半にキールについた時でも空はまだ薄明るいのです。ずいぶん高緯度の地方に来たのだと実感しました。(ちなみにキールの緯度は北緯54度、札幌は43度です)

 会議の内容は、前回のベルゲン会議からこの会議の間に各国がいくつかのデータセットを作成したことや情報の収集が進んだことから、具体的な動きがあり実り多いものとなりました。各国のナショナルレポート、関連プロジェクトの発表に続いて、JGOFS全体のデータについて議論されました。 現在JGOFSのデータセットとしては、カテゴリーTと呼ばれる日本のNOPACCSMASFLEXやインド、アラビア海CD-ROMHOT(ハワイタイムシリーズ観測点)等、計9セットが刊行されています。これらのデータはJGOFSプロジェクトとして、正式に認定された精度や観測項目等の要求を満たすナショナルプロジェクトです。その他カテゴリーUと呼ばれるJGOFS RERATEDのデータとして、OMEXLOISの二つのCD-ROMがあります。

 これらのデータセットを中心に、JGOFSとして統合データセットを作成することが決定されました。このJGOFSマスターデータは長期の保存に耐えるように、また特定のアプリケーションや機器に依存しないように、テキスト形式のCSVファイルが望ましいと決定されました。今後、上記のCD-ROMデータは、この共通のCSV形式のデータとしてJGOFS DMTTが共通のフォーマットとして変換した後に公開されます。

実データとは別に、現在刊行されているCD-ROMからメタ情報を作成しインターネット上公開することも決定しました。これはDIFと呼ばれるフォーマットで、NASAが管理する地球科学全般を扱うメタデータの標準データベースのGCMDと同じフォーマットです。またこのDIFJGOFSの親プロジェクトであるIGBPのデータおよび情報システムであるIGBP-DISでも採用されていますので、作成したメタデータはJGOFSのみならず、IGBPや広く地球科学全般のデータベースからも利用できることになります。

日本が作成したNOPACCSデータセットは、非常に評価は高く、また会議に持参した小達動物プランクトンデータは、JGOFS関連データセット(カテゴリーU)として登録されました。その他、IPOの担当者から、海域毎の各国クルーズの調査状況について報告が行われましたが、それによると太平洋海域における登録数は日本のクルーズ数が、USAを若干上回って最も多い数でした。この海域において日本の観測データが多くその貢献が期待できることと同時にこれらのクルーズ情報をきちんと管理しているJODCの活動が認められたことでもあり誇らしい結果でした。

JODC 三宅 武治)